論理的思考が役立つのはどんなときか考えてみた

最近、このブログで数回ほど「理屈で考えること」を否定するような記事を書きました。

まあ、厳密に言えば「否定する」というよりも、「間違った使い方をしないようにしましょう!」という意味合いなんですけどね。

例えば、この記事では「科学や論理というものが上手く適用できる範囲って思ったよりも限られているよね」という話をしました。

あるいは、以下の記事では、般若心経の中に出てくる「空」の概念を解説しつつ、生きることにセオリーはないんだという話をしました。

あと最後に、この記事では「失敗リスクを最小化するような計画法はない」「計画とは科学的な手法を適用するのではなく責任である」といったドラッカーの言葉を紹介しました。

そんなわけで、論理的思考を否定するような内容の記事が続いてしまったので、今回は逆に、理屈で考えることがどういったときに役立つのか?ということを僕なりに考えてみます。

で、さっそく結論から言えば、それは次のようなことになると僕は思います。

  1. 相手を説得するとき役立つ
  2. 目標達成に必要な仮説を立てるのに役立つ
  3. 自分の中にある先入観を壊すのに役立つ

これらの意味を以下でもう少しだけ詳しく解説していきます。

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①相手を説得するときに役立つ

これは論理というものが本来持つ意味に近いですよね。

異なる意見を持つ人間同士が、お互いの考えを理解するために生み出されたのが論理なわけですから。

実際、「なんとなく直感でこう感じるんだ!」と言われるよりも、「AならばBで、BならばCなので、今回はAが成り立っているので答えはCだ!」と説明されたほうが説得力があります。

まあ、現実はA,B,Cだけじゃなく、D,E,F,…と無数の条件が絡み合い、複雑に影響しあって成り立っていると考えたほうが自然だと思うのですが、僕ら人間はそんな無数の条件を考慮できないので、主要なものだけを抽出することによって物事を理解するわけです。

というわけで、論理的思考は相手を説得するとき、その話の内容を組み立てるのに役立ちます。

②目標達成に必要な仮説を立てるのに役立つ

当たり前ですが、「理屈で考えても結局その通りになるわけじゃないから」という理由で、何も考えず、ただ感覚的に動いているだけでは目標は達成できません。

というのも、達成すべき目標というのは、いつもと違う特別な努力が必要だから目標と呼べるわけですが、ただ感覚的に動いているだけでは、その肝心の「いつもと違う努力」をすることができないからです。

例えば、ラーメン屋さんを経営していたとして「月100万円の売上を作る」という目標があったとしましょう。

このとき、理屈で何も考えることのないまま「とにかく頑張るしかないんだ!」という態度でいると、いつもやっている業務内容の枠を超えることはできません。

「営業時間を長くする」とか「おいしいラーメンを作る」とか「接客を良くする」とか。

まあ、それはそれで大切なことだと思うのですが、あまりにも漠然としすぎているかんじがありますよね。

でも、論理的に考えるとしたら、売上の要素を分解して「毎月1000人に1000円分お金を払ってもらえるにはどうしたらいいか?」というふうに問題を定義し直すことができます。

で、毎月1000人集客するために、試しにチラシを1000枚配ってみようとか、SNSを使って1000人のフォロワーを作ってみようとか、いま来てくれているお客さんにクーポンをつければ再来店してくれるんじゃないかとか。

そんなかんじで、論理的に考えていくことで具体的な対策方法が思いつきやすくなるんですよね。ちなみに、1000円分のメニューを考えることについても然りです。

もちろん、これは簡単に言ってますが、現実はそんな甘くないと思います。

一つのアイデアを実行するのも大変ですし、それにそのアイデアを実行したところで、だいたい期待したとおりには上手くいきません。

成功するためには、こういったものを根気強く、泥臭く地道に実行していくしかないわけです。

でも、そうやって論理的に考えて仮説を立てることで、ただ漠然と頑張るよりも、確実に目標のほうへ近づいていくことができます。

ということで、論理的思考というのは、目標達成のための仮説を立てる上で役に立つ道具になります。

③自分の中にある先入観を壊すのに役立つ

正確な判断のためには「何が事実なのか?」ということから始めなくてはいけません。

しかし、困ったことに、人間は誰しも自分の主観に囚われてしまうわけで、意見と事実を区別することは至難の業です。

で、そういうとき、論理であったり数字といったものが役に立ちます。

なぜなら、論理というものは極めて客観的な存在だからです。

例えば、目の前に水の入ったコップがあったとしましょう。

そのコップについて、ある人は「水がたくさん入っている」というかもしれませんし、別の人は「水が少ししか入っていない」というかもしれません。

それぞれの基準がありますから、意見もバラバラで当然ですよね。

でも、そのコップにある水の量を計測して、それが100ccだったとしたら、その100ccというのは、誰がなんと言おうと覆せない事実ですよね。

「多い」と思う人がいようが、「少ない」と思う人がいようが、100ccは100ccに変わりないわけですから。

それと同じように、例えばさっきのラーメン屋さんの例でもう一度説明するとすれば、自分としては精魂込めて作ったAセットのほうが人気だと思っていたけど、実際に売上やアンケート結果などの数字を確認すると、おまけで作ったBセットのほうが人気だということがわかるかもしれません。

そして、それがわかれば、AセットよりBセットを強く勧めたほうが売上が伸びる可能性だってありますよね。

と、まあ、そんなかんじで、論理というのは自分の中の先入観を壊し、「何が事実なのか?」を明らかにする上で、非常に役立つツールとなります。

まとめ:論理と知覚のバランスを取ることが大事

ここまで論理的思考がどんな場面で役立つのかを考えてみました。

もう一度繰り返すとすると、

  1. 相手を説得するとき役立つ
  2. 目標達成に必要な仮説を立てるのに役立つ
  3. 自分の中にある先入観を壊すのに役立つ

というのが僕の考えになります。

やっぱり、物事を論理的な側面から眺めるのは非常に大事ですね。改めてそう思いました。

とはいえ、論理ばかりに偏ってしまうと、この世界のすべてを説明できる物凄い法則があるかのような勘違いをしてしまいますので、論理だけじゃなく、知覚的な要素とのバランスを上手く取っていくことが大事なんでしょうね。

理屈で考えることだけで正解を見つけることはできないけど、でも、あながち理屈による結論とそう遠くない場所に正解が眠っている…ってかんじでしょうか。

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