お客さんの対応をしていると、「こうやったら上手くいきますよ」と助言したのに、次に会ったとき話を聞くと、アドバイスの内容について全く何もしていない…なんてことによく出くわします。
もちろん、これが一方的な命令だとしたら、言うことを聞かないのは当たり前の話なのでしょうが、そうではなくて「困っているから…」と本人から助言を求められてのことなんですよね。
だから、最初は「ラクしたいだけでやる気はないのかな?」なんて思っていたのですが(まあそういう人も一部いたりしますが)、しっかり話を聞くと決してそういうわけでもないらしいのです。
で、あれこれ調べてみた結果、こういう現象が起きる原因について、いくつか分かったことがあって、そのうちの一つが「意識的な願望と無意識の動機は違う」ということです。
例えば、「志望校に合格したい!」と思っている受験生も、無意識の領域では「親に褒めてもらいたい」のかもしれません。
「痩せて美しくなりたい!」と思っている女性も、無意識の領域では「周りの人から認めてもらいたい」のかもしれません。
あるいは、「お金持ちになりたい!」と思っている人も、無意識の領域では「自分が価値のある人間だと思いたい」のかもしれません。
つまり、意識で考える願望と、無意識における動機がズレているんですよね。
そして、このズレが埋まらない限りは行動できません。
というのも、意識でいくら「自分にメリットがある」と理解したところで、その行動の快・不快を判断するのは無意識であり、なにかしらの快感が伴わない行動は身体が受け付けないからです。
あと、ちなみにですが、そういうズレを抱えている人は、ものすごく理屈っぽかったりします。
「なぜそうしたいんですか?」的な質問をすると、「これからはこういう時代で~」とか「自分はこういう人間だから~」みたいなことをたくさん話してくれたりするんですよ。
だから、僕は当初「そんなに理由があるのになぜ行動できないんだろう?」と困惑していました。
ただ、「願望と動機のズレ」というものを知り、いまになって気づいたのは、そうやって理論武装することで、自分をなんとか行動させようとしていたんじゃないかな?ということです。
「自分が行動できないのは行動すべき理由が足りないからに違いない!」といった具合に考えているのではないでしょうか?
でも、頭でいくら理由を考えたところで、身体が納得していないとダメなんですよね。
だから、僕らが常に「自分の無意識がどう思っているのか?」ということに注意を向けておくべきなんだと思います。
とはいえ、意識からでは無意識の領域にアクセスすることはできませんから、ついついやってしまう行動や、感情がうごくきっかけ、夢で見ることなど、自分の無意識の動きを観察して、そこから推測していくしかないわけですが。。
そして、その観察を継続していきつつ、あとは日々の生活習慣を変えることで、自分の無意識をほんの少しずつ、意識にとって望ましいものに作り変えていく。
そういう毎日のコツコツとした積み重ねによって、人は本当に変わることができるんだと思います。
そんなわけで、願望よりも動機に注目したほうが成功しやすいんじゃないか?という話でした。