上手にやろうとするのではなく思い切りよくやること

  • 2021年9月11日
  • 2021年9月11日
  • 書籍

「葉隠」という江戸時代の有名な書物があって、内容としては武士道について語ったものなのですが、これが結構面白くて、定期的にパラパラとめくって読み返す…ということをしています。

ちなみに、葉隠で特に有名な一節が「武士道とは死ぬことと見つけたり」というやつですね。

この部分だけなら聞いたことがあるという人が多いのではないでしょうか。

で、そんな葉隠ですが、僕の好きな話の中に、こういうものがあります。

「この紙いっぱいに、ただ一字を書くと思い、また勢いで紙が破れてもよいと思って書くといい。上手・下手を言うのは書道家の仕事だ。武士は思い切りよくやることでよいのだ」

これはすごく教訓になる言葉ですね。

例えば、ヒットしている楽曲・アーティストを見ていると、ものすごく演奏が上手かというと、決してそうでもない気がするんですよね。

もちろん、上手であることは間違いないのですが、テクニック的な面だけで言えば、もっと上手な人は、それこそプロの中にはたくさんいます。

でも、だからといって、すごくテクニックがある人が売れているかというと、決してそうでもなかったりするわけで…。

あまり歌が上手でなかったり、演奏が上手くなかったとしても、それでもなんか印象に残る、なんか心に響く音楽ってあるじゃないですか。

下手で未熟でも「やってやるぞ!」という心意気があれば、そこに僕らは感動させられるわけです。

野球でいうところの高校野球・甲子園が人気なのも、そういうところに理由があるのでしょう。

でも逆に、ものすごく上手で、すごいテクニックを持った人でも、「これをやったら喜んでくれるんでしょ」みたいな事務的なかんじで対応されたら、僕らはあっという間に冷めてしまうんですよね。

僕らはなにかに挑戦するとき、どうしても「頭のいい方法で」「無駄な努力をしないように」「効率よく達成する」ということを求めてしまいます。

まあ、それ自体は全然悪いことじゃないでしょう。

でも、それが行き過ぎて、テクニックが先行してしまい、「やってやるぞ!」という気迫が失われてしまったら、上手くいくものも上手くいかなくなってしまいます。

逆に、その気迫みたいなものがあれば、方法とかテクニックとか、そういったものの不足は、それこそ後からなんとでもなるんじゃないでしょうか。

未熟な人に対して、評論家はあれこれ口やかましく言うでしょう。

でも、かの有名なドラッカーが言ったように”Theories follow events”なんです。

理論が現実に先行するわけじゃありません。

現実が理論に先行するのです。

僕は、ついつい頭でっかちになってしまう癖があるので、理論に溺れてしまいがちなのですが、そうならないように気をつけて生きていきたいと思います。

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