僕は普段、人を教育するような仕事をしているのですが、そうやって人と接していると「科学的に考える」ということが、どういうことなのか、イマイチ理解できていない人が多いことに気付かされます。
まあ、僕も昔はそうだったので、決して偉そうには言えないわけですけどね^^;
とにかく「科学」というのは、人類が長い期間、その叡智を結集させて発展させてきたものですから、何かに困ったら、科学を使わない手はないと思うのです。
じゃあ、「科学的に考える」ってどういうことなのか?
その定義はいろいろあると思うのですが、まずひとつには、「問題点を要素に分解して考える」ということになるでしょう。
例えば、セールスだったら、
- お客に興味を持ってもらう段階
- お客に「ほしい!」と思ってもらう段階
- お客に決断してもらう段階
というふうに分けて考えようってことです。
これは「定石を知る」というふうに言い換えられるかもしれません。
では、なぜ「分けて考える」なんて面倒なことをわざわざやるのでしょうか?
それは、分けて考えずに「上手くセールスしよう!」と漠然と考えるよりは、
- お客に興味を持ってもらうにはどうしたらいいだろうか?
- 「ほしい!」と思ってもらうにはどうしたらいいだろうか?
- 購入を決断してもらうにはどうしたらいいだろうか?
って考えたほうが、問題点が具体化された分だけ考えやすくなるからです。
まあ、「どうやったら『ほしい!』と思ってもらえるか分からない…」という場合は、「ほしい!」と思ってもらえる方法について、要素に分解しなくちゃいけないわけですが…。
でも、そうやって分解を繰り返していくことで、必ず自分にとって処理できる範囲まで、問題を持ち込めるようになるはずです。
そして、それができたら今度は、各要素のパフォーマンスを測定することで、結果を改善していくことを考えます。
さっきのセールスなら、3つの要素をそれぞれ30%改善することで、全体の成果を2.2倍にすることができますよね。
「成約率が2倍になるようにセールスしよう!」って考えるのは難しくても、30%の改善だったら、まだなんとかなりそうなかんじがするじゃないですか。
だから、ここで大切なのは、一つのことにしか変更しないのではなくて、要素の全体に渡って細かい改善を繰り返し続けることです。
そして、もう一つ大事なのが、自分の感覚でなんとなく判断するのではなくて、改善前・改善後の結果をちゃんと数字でもって管理・測定するということですね。
いずれにせよ、成果を上げるために必要な要素さえ理解できれば、ずば抜けたものでなくとも、そこそこの結果は出せるようになっているでしょう。
間違っても、大きく失敗することはないと思います。
なので、なにかに困ったときは、問題点を要素にわけて解説してくれる教科書みたいなものを探せばいいわけですね。
もしかすると、中には「そんな都合よくいくものかな?」なんて思う人もいるかもしれません。
まあ、もちろん僕も「どんな問題でも科学が解決してくれる!」とはいいません。
しかし、僕らが悩む程度のことであれば、たいていのことは先人たちが科学によって解明してくれているものなんですよね。
じゃないと、一部の天才しか問題を解決できないことになってしまいますから。
例えば、「セールス」というものに科学の入り込む余地がないのだとすれば、モノを売れるのは一部の天才だけということになってしまいます。
でも、現実をよく考えてみてください。
僕らは、日常的に財やサービスを売り買いしているわけで、決して天才だけがセールスをしているわけじゃないんですよね。
だから、そんなふうに、僕らの生きる世界では、圧倒的多数を占めるはずの凡人たちが、驚くべき成果を上げているわけで、
じゃあ、「なぜそんな奇跡みたいなことが成り立つのか?」というと、紛れもなく、それは科学(的な思考法)が存在するおかげなんですよね。
…というわけで「何かに困ったら、まずは科学的に考えることをやってみましょう」という話でした。