「上京物語(喜多川泰)」を読んだ感想

  • 2020年8月13日
  • 2020年8月13日
  • 書籍

最近、2,3年くらい前に一度読んで、そのままになっていた「上京物語」という本を読み返していました↓

 

 

この本は、本当に胸に刺さる内容になっています。

例えるなら、中島敦の「山月記」みたいなかんじでしょう。

あの作品を読んで、身につまされる思いをした人は、ぜひこの本も読んでみてください。

きっとすごく感動するというか、なんというか、胸の痛くなるような気持ちになると思います^^;

 

実は以前読んだときも、すごく引き込まれて、最初から最後まで一気に読み通してしまいました。

まあ、それだけ刺さる内容にも関わらず、それ以降は読み返さずに放置していたのですが、それは、きっとこの物語が、僕にとってすごく耳が痛い話だったからじゃないかなって思います。

 

この物語の面白いところは、ジャンプの漫画で出てくるようなカッコいい魅力的なキャラクターが出てくるのではなく、上京した多くの人たちの実話を元にしているところなんですよね。

よって、そこにはなんのドラマもありません。

挑戦すべきとき・決断すべき場面を前にしても、この物語の主人公は、世間の常識というものに流され、「いまはまだそのときではない…」とあれこれ言い訳して、結局やらずに時間だけが残酷に過ぎていきます。

そして、そのまま主人公はひたすらローンの支払に終われ続け、「若かったあのときに行動しておけば…」と後悔しながら物語が終わるのです。

ちなみに、ここまでが前半パートで、本の後半では、この主人公のような人生を送らないために「僕らはどうするべきか?」を学ぶパートになっています。

 

で、この本を読んで、僕がイチバン考えさせられたのは「時間の残酷さ」です。

なにか挑戦すべきことが出てきたとき、この物語の主人公と同じように、僕らも「お金がないから…」とか「時間がないから…」という理由で、やらない言い訳をしてしまいますよね。

 

でも、よく考えれば、お金や時間がないのは当たり前のことです。

というのも、もし仮にお金を貯めたり、時間が空くのを待って、準備万端の状態で物事に臨もうとしたって、世の中は決して僕らを待ってはくれません。

きっと、僕らの準備が整う頃には、全く別の問題が起きていることでしょう。

それに、もしお金を十分に貯めたとしても、知恵を絞ってゼロからお金を稼ぐ練習をしてこなかった人は、そのせっかく貯めたお金を簡単に溶かしてしまうんですよね。

 

時間についても然りです。

「時間のない状況の中で、なんとか時間をやりくりする」という練習をしてこなかった人が、ただ時間だけ与えられたとしても、結局ダラダラして終わるだけでしょう。

だから、「〇〇がない」というのは言い訳にすらならないんですよね。

 

とはいえ、僕を含めた世間の多くの人たちは、そういったことをアタマでは理解しているのだけれど、心の底では学びきれていないのです。

よって、実際の行動には移せません。

そうこうするうちに、最初は大きな夢があった人も、結婚して子供が生まれ、子供のために必死に働くようになり、いつの間にか挑戦する自由も失ってしまい、夢の実現なんてそっちのけになってしまうのでしょう。

 

ちなみに、これは決して、結婚とか子育てを否定しているわけではありませんよ。

僕が言いたいのは、「いまやっておかないと後からどんどん挑戦しづらくなる材料が出てきてもおかしくない」って言いたいんです。

 

今年のウイルス騒ぎとかも同じですよね。

4年に一度のオリンピックを目標にして、日々の厳しい練習を耐えてきたアスリートの方たちがたくさんいたと思うのですが、そんな彼らの目標も、今回の騒ぎであっけなく潰えてしまいました。

僕らが当たり前に思っていたものは、決して当たり前ではなかったのです。

 

そんなことが起きるくらいですから、きっと僕らが挑戦できるタイミングというのも、思っている以上に限られているものなんでしょう。

もしかしたら、近い将来、大きな怪我をしたり、大病を患ったりして、ただ生活することすらままならない状況になるかもしれないわけで…。

そんな中で僕らにできることといえば、後悔しないように「〇〇がないから…」なんて言い訳せず、一日一日を精一杯生きていくことなんですよね。

この「上京物語」という本は、そういう一見すると当たり前なんだけれど、当たり前過ぎるがゆえに忘れてしまいがちなことを思い出させてくれる素晴らしい本だと感じました。

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