「気分が乗ったときにやろう」では上達しない

ビジネスの世界では、過程ではなく、常に結果を求められるわけですが、この考えかたが行き過ぎてしまうと、「上手くいかないならやらないほうがマシだ」とか、「あとで気分が乗ったときにやろう」なんてことになってしまいがちです。

ただ、そういう考えかたで取り組んでいると、いつまで経っても上達は見込めないんですよね。

おそらく、それはどんな分野のことについても言えることでしょう。

だから、どれだけ調子が悪くて上手くいかなかったとしても、毎日、決まった時間・決まった量だけ必ず取り組んだほうがいいのです。

 

まあ、たしかに、そうやって調子の悪いときにアウトプットしたものは、あまり出来の良いものだと言えないのかもしれません。

ただ、それでも毎日必ず取り組むべきだと思うのは、成果を上げるには習慣的なトレーニングが必要になるからです。

毎日、同じことを繰り返し続けることによって、僕らの身体は、着実に技術が磨かれていきます。

それを「上手くいかないから」とか「気分が乗らないから」を言い訳にして訓練を怠ると、脳や身体がサボることを覚えてしまうんですよね。

そして、困ったことに一度サボることを覚えてしまったら、そのサボり癖を直すために余計に手間がかかってしまいます。

だから、調子が悪くて、結果が出なくたって別に構わないんです。

それよりもイチバンやっちゃいけないのが、結果が出ないことを理由にしてサボることなんですよね。

ちなみに、こういったことについては、村上春樹さんが非常に参考になる話をしてくれています↓

 

このような能力(集中力と持続力)はありがたいことに才能の場合とは違って、トレーニングによって後天的に獲得し、その資質を向上させていくことができる。毎日机の前に座り、意識を一点に注ぎ込む訓練を続けていれば、集中力と持続力は自然に身についてくる。これは前に書いた筋肉の調教作業に似ている。日々休まずに書き続け、意識を集中して仕事をすることが、自分という人間にとって必要なことなのだという情報を身体システムに継続して送り込み、しっかりと覚え込ませるわけだ。そして少しずつその限界値を押し上げていく。気づかれない程度にわずかずつ、その目盛りをこっそりと移動させていく。これは日々ジョギングを続けることによって、筋肉を強化し、ランナーとしての体型を作り上げていくのと同じ種類の作業である。刺激し、持続する。刺激し、持続する。この作業にはもちろん我慢が必要である。しかしそれだけの見返りはある。

優れたミステリー作家であるレイモンド・チャンドラーは「たとえ何も書くことがなかったとしても、私は一日に何時間かは必ず机の前に座って、一人で意識を集中することにしている」というようなことをある私信の中で述べていたが、彼がどういうつもりでそんなことをしたのか、僕にはよく理解できる。チャンドラー氏はそうすることによって、職業作家にとって必要な筋力を懸命に調教し、静かに志気を高めていたのである。そのような日々の訓練が彼にとっては不可欠なことだったのだ。

村上春樹.走ることについて語るときに僕の語ること(文春文庫)(Kindleの位置No.1067-1080)..Kindle版.

 

僕自身、上手くいかないことがあると、ついついふてくされてしまって、全部投げ出しちゃうようなところがあるのですが、たとえ調子が悪くて上手くいかなくても、訓練のために「決めた分は必ずやる」ということを徹底していきたいと思います。

ということで、結果だけではなく、過程にも意味を見出すようにしましょうって話でした。

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