決して僕だけではないと思うのですが、自分のダメなところに懲りて「変わらなきゃ」と決心するけど、少し時間が経てば、決意したときの気持ちも忘れて、元の生活に戻ってしまう…ということがよくあります。
そして、そんなとき「結局、頑張ったところで自分の性格は変えられないんじゃないか」なんてネガティブに考えてしまうわけですが、心理学者のエーリッヒ・フロムは、著書「生きるということ」の中で、この問題について以下のように話しています。
(前略)大規模な性格学的な変革は可能か。またもし可能とすれば、それはいかにしてもたらされうるか。
私の言いたいのは、人間の性格は次の条件が存在すれば、変わりうるということである。
1.私たちが苦しんでいて、しかもそのことに気づいている。
生きるということ エーリッヒ・フロム (著), 佐野 哲郎 (翻訳)
2.私たちが不幸の原因を認めている。
3.不幸を克服する方法があることを私たちが認めている。
4.不幸を克服するためには、生きるための或る種の規範に従い、現在の生活慣習を変えなければならないことを、私たちが容認している。
もっとも、ここでフロムが話している「性格」と、僕らが日常的に使う「性格」という言葉には意味のズレがあることに注意しておかなければいけません。
ここでの性格とは、「ズボラ」だとか「几帳面」みたいなものではなく、「世界に対する自分の態度」的なものなわけですが、ただ、僕らが本当に変えたいと思っているのは、そっちの(後者の)領域のことですよね。
なので、自分を変えたい人にとって、この言葉は本当に頼りになると思います。
そして、もう一つ気をつけなければいけないのが、4番のところで「現在の生活慣習を変えなければいけない」と話しているところです。
結局、一度頑張ったところで、人間というのは変わらないってことですね。
本当に自分を変えたいのであれば、一度ではなく何度も繰り返し具体的な行動を取る必要があります。
だから、例えば、自己啓発のセミナーとかに行って「人生が変わりました!」みたいなことはありえません。
それがあるのだとすれば、そのセミナーをきっかけに具体的な生活習慣が変わった場合のみですし、それってほとんどセミナーというより本人の努力だと言ったほうが適切でしょう。
以上、まとめると、「自分を変えたければ具体的な行動に落とし込んで、それを毎日(あるいは毎回)の習慣にしなければいけない」という話でした。