恐怖に対する3種類の反応

ちょっと変な話で申し訳ないのですが、いつだったかネットサーフィンしていたら、動物と列車の事故動画を目にすることがありました。

多くの場合は、いきなり飛び出してきた動物との接触事故であるとか、あるいは、線路を横切る方向へ走っていけばいいものを、パニックで冷静な判断ができないせいか電車の進むのと同じ方向へ逃げて轢かれてしまったり…といったものだったのですが、

その中でも特に驚いたのは、全く逃げもせずに列車の方を見つめるだけで、ただ自分が轢かれるのを待っているように見える動物たちが一部いたことです。

 

動画を見たとき、僕は「これほどまでの危機が迫っているのになぜ何の反応も見せないのだろう?」と不思議に感じて、しばらくはそのまま忘れていたのですが、

いま読んでいるこの↓トラウマ治療の本に、これと関係するような記述が出てきたので、そのときの謎がちょっと解けたような気がしたんですよね。

 

 

で、この本によると、恐怖に対する反応というのは、決して一通りではなく、おおまかに以下の3種類があるそうです。

  1. 社会的関与(怯えた表情を見せることで周りの人間に助けを求める。腹側迷走神経複合体)
  2. 闘争・逃走(怒りで暴れ狂ったり、恐怖で逃げ出したりする反応。交感神経系)
  3. 虚脱(脅威に対する反応が停止した状態。身体が動かなくなる。背側迷走神経複合体)

まずは1番から順番に神経が反応していって、それでダメなら、1→2→3と順番に反応が切り替わっていくんですね。

ちなみに、脳は大まかに分けて、

  1. 理性を司る大脳新皮質(人間的な脳)
  2. 感情を司る大脳辺縁系(哺乳類的な脳)
  3. 生命活動を維持するための脳幹(爬虫類的な脳)

という3つの層からなる構造をしているのですが、これはさきの1~3の恐怖反応と対応しています。

 

そして話を戻すと、僕が不思議に感じた「全く身動きしないまま列車に轢かれていく動物たち」というのは、3番の虚脱状態になっていたんじゃないかな?というふうに思いました。

僕らには想像しがたいことですが、人間も動物も、あまりに大きな恐怖を感じると、身体が動かなくなり、場合によって感覚がなくなったりして、外界に反応できなくなるみたいですね。

だから、トラウマを抱えている人で、虚脱状態になりやすい人には、まずはマッサージなどを行って、身体からの信号に気づいてもらうという治療もあるようです。

いずれにせよ、心というのは奥が深いですね。

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