何年か前に「このハゲー!」などの秘書への暴言で話題になった議員の、豊田真由子さんを覚えていますでしょうか?
あの事件が問題となってから暫く経ちますし、忘れてしまったという方も多いかもしれませんが、その豊田さんのインタビュー記事が上がっていて、これがかなり勉強になったので共有したいと思います↓
〈独占告白〉「このハゲ〜!」騒動から3年・豊田真由子「意識のあるときは、死ぬことばかり考えていた」
他のみなさん同様、僕がこの方を知ったのは、あの暴言のテープ音声の報道がきっかけであり、普段の様子などは全く知りませんでした。
だから、当時の僕としては「なぜそこまで怒らなくちゃいけないんだろう?」というのが不思議だったのですが、この記事を読んで初めて、なぜそこまでイライラしていたのかが、なんとなくわかったような気がします。
きっと豊田さんは、真面目すぎるタイプの人だったんじゃないでしょうか。
例えば、以下の部分(引用)を読んでみてください。
私は、子どもの頃から自己肯定感が低く、それもあって人の役に立つ仕事に就きたいと思い続けてきました。学生時代に、児童養護施設や障がいのある子どもが通うデイサービスのボランティアをしたことで、より具体的に、医療や福祉、介護などの社会保障を良くするために働きたいと思うようになり、厚生省に入省したのです。
世間では、官僚は利権に汲々としていると思われているかもしれませんが、それは大きな誤解です。ほとんどの職員は、ただただ国民の役に立つことができればと、精一杯働いています。私もそうした思いで、入省後は懸命に働きました。
たしかに、真面目であること自体は良いことです。
ただ、その真面目が「自らを犠牲にして社会に貢献する」という意味合いになってくると、いろいろと問題が起きてきます。
そもそも自己肯定感というのは、自分で育てていくものであり、他人からの評価を得ることで感じられるものではないんですよね。
だから、どれだけ頑張って他人から評価されたところで、幸せにはなれないんです。
で、本当ならそこで「なんかおかしいぞ」と気づけたら良かったのですが、真面目で優秀ということもあり「もっと頑張らなければ…」と、ますます悪い方向へ進んでいったのでしょう。
きっと「辛いことは良いことである」「苦しみに耐えなければ幸せにはなれない」という価値観も影響しているんじゃないかと思います。
あと、そうやって自分を追い込むタイプの人は、どうしても他人にも厳しくなってしまいます。
「自分がこんなに頑張っているのに周りの人間はなぜ…」という思考になってしまうからですね。
本当の意味で「自分のために一生懸命努力している人」であれば、どんなに大変なことでも「自分のためにやっている」という感覚があるので、別に周りの人がどうであろうとイライラしたりしません。
でも、これが「みんなのために自分をないがしろにする」という意味の努力になると、意識の上でどれだけ誤魔化したところで、やっぱり心の奥の部分では不平不満が溜まってきます。
そして、その不平不満がなにかのきっかけでドッと溢れ出して、あの事件に繋がったんだと思います。
ちなみに、豊田さんがどれだけ大変な日々を送っていたかは、以下の部分でも伝わってきます↓
議員となって以降も、早朝の駅に立ってから、電車に乗って国会へ。国会で質問をして、党の政策会合で議論を重ね、夜は毎日地元に戻る。いくつも会合を掛け持ちして、出席者全員にお酌をして回り、じっくりお話を伺いました。夜中に家に帰って、翌日の資料を読み込む。毎日2、3時間の睡眠でしたが、自分はそうやって認めていってもらうしかないのだと、思っていました。
ただ、今思うと当時は身体も心も疲弊し、もはや限界だったのだろうと思います。とことんまでやり遂げないと気が済まない、少しも手を抜くことができない私の未熟さが、自分も周りの人たちをも追い詰めることになっていたのかもしれません。
こうやって見ると、あの事件は起こるべくして起きた、必然の結果だったのかもしれませんね。
もし、あの暴言が公の場に出ず、それほど問題にならなかったとしても、他のところであのイライラが爆発していたでしょう。
さらに百歩譲って、そのイライラを仮に我慢できたとしても、身体がもたず、どこかで限界がきて倒れていたんじゃないかと思います。
ストレスで精神的な病気にでもなったりしたら取り返しが付きませんから、そういう意味では、「あの事件が豊田さんを守ってくれた」という見方もできるかもしれません。
まあ、かなり批判があったし、精神的にも追い詰められたそうなので、そう考えるには都合が良すぎるかもしれませんが。。
いずれにせよ、もう十分に禊は済んだでしょうし、周りのことばかりでなく、自分の人生を生きて豊田さんには幸せになってほしいですね。
きっと根は真面目な人でしょうから、そしたら同じことも二度と起こらないと思います。
あと最後に、豊田さんは学歴もあって優秀で、官僚から議員というキャリアといい、まさに社会的な成功を体現したかのような人なわけですが、それほどまで優秀で成功した人でも、自分をないがしろにすると、いつか必ず手痛いしっぺ返しを食らうんだなと参考になりました。
自己犠牲は昔から美徳とされていますが、やはり僕としては、不幸な結末にしかつながらないと思います。
まあ、そんなことを言うと誤解を生むかもしれません。
でも、本当に自分のためになることは相手のためにもなるわけで、自分を犠牲にしても必ずどこかで問題が起きると思うんです。
実際、豊田さんの場合は、秘書がストレスの捌け口になっていたわけですし。
だから、相手の機嫌ばかり取るんじゃなくて、自分の機嫌をしっかり取れる人間にならなくちゃなあ…と改めて感じました。