人にものを教えていると、「こうすれば簡単にうまくいくんだけどなあ」みたいな現象がよくあります。
そういうとき傲慢にも「なぜやり方まで教えているのに行動しないんだろう?」とか「やる気がないんじゃないか?」なんて批判したくなったりもするのですが、
冷静になって過去を振り返ってみれば、自分も同じようなことをやっているわけで、他人のことを偉そうに批判できないことに気づいたりするんですよね^^;
で、そうやって自分に当てはめて過去を振り返る限り、ただやる気がないから行動しないというのは違う気がしていて、
むしろ「本当は実行したいし、それをやるべきなのも頭ではわかっているつもりなのだけれど、なぜか行動に移せない」というかんじなんです。
「頭で理解しているけど行動できない」ということは、単純に考えると、意識ではなく無意識のほうに何か原因があるのではないかと思うのですが…。
いずれにせよ、こういうとき、よく解決策として挙げられるのが、「コツコツ継続して習慣にしましょう」とか「小さな成功体験を積んでいきましょう」といった方法です。
つまり、実行できないのは、その人にとってのハードルが高いことが原因なのであって、それならまずは簡単に飛び越えられるところにハードルを設定し、それを徐々に高くしていけばいいというわけですね。
たしかに、この方法には一理あります。
僕自身、結果を早く出そうという焦りのせいか、最初から高いハードルを飛び越えようとして挫折することが何度もありました。
だから、小さいことからコツコツ継続するというのには、決してバカにできない力があると思います。
しかし、その一方で僕としては、この解決策にはまだ不十分なところがあるんじゃないかという気持ちもあったりするんですね。
どういうことかというと、例えば、小さい頃から無理やり椅子に座らされ、親に怒鳴られながら勉強してきた学生がいたとしましょう。
そんなふうに育てられたら勉強ギライにならないわけがありません。
じゃあ、この学生が志望校を目指して勉強しなくちゃいけないという場合、さっきの方法が通用するか?というとダメだと思うんですよね。
こうやって「勉強する」ということが、ある種のトラウマのようになってしまうと、ハードルを低く設定したところで、それすら飛び越えられないんじゃないでしょうか。
だから、「なぜかできない」という問題を考えるとき、ただ単に習慣が身についていないことが原因になる場合と、心理的な問題が原因になっている場合の2つがあると思うんですよ。
そして、たいてい場合は、後者が原因で悩んでいる人がほとんどなんじゃないでしょうか。
というのも、前者のパターンであれば、本人にやる気がある限り自然と解決できる問題だからです。
では、後者の心理的な原因が元になっている場合、どうすれば解決できるのでしょうか?
正直、心理的な問題となると、決まった解決法というのを求めるのは難しい気がします。
ただ、それでも一つ言えそうなことは、その心理的なブレーキを作るきっかけとなった出来事を思い出すということでしょう。
例えば、昔から対人関係が苦手で、それを克服するために営業職につくなどいろいろやったけど全てダメだったという人がいたのですが、
ある日、友人の誘いで心理療法みたいなものを受けたところ、小さい頃のトラウマの原因となった出来事を思い出し、それから対人関係の苦手意識が消えたそうです。
そんなわけで「頭ではわかっているけど実行に移せない」ということが起きた場合、ただの怠慢だと自分を責めるのではなく、心の問題にまで目を向けて考えると、なにか解決の糸口が得られるかもしれない…という話でした。