夢を記録するのは危険な行為なのか?

最近、自分の夢の内容を記録することに関心があるのですが、ネットで調べてみると「夢と現実の区別がつかなくなる」とか「気が狂ってしまう」みたいな記事がいっぱい出てきて、どうしたものか少し不安になってます。

そもそも、なぜ自分の夢を記録しようと思ったかというと、ユングの心理学に関係する本をいろいろ読んで、無意識の世界に興味を持ったからです。

例えば、この「ユングの生涯」とかですね↓

この本は、タイトルの通り、分析心理学のあのユングの生涯について解説してくれているものなのですが、特に「無意識との対決」のところにある、ユングの内面体験の部分には、かなり衝撃を受けました。

ユングの著作やユング派の人たちが書いた本は他にもたくさんあるので、心の問題について興味がある人は、この本でなくても、そのうちのどれか好きなものをぜひ読んでみてほしいと思います。きっと面白いので。

 

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ユングの内面体験

 

この本によれば、ユングは40歳のころ、一緒に精神分析という分野を立ち上げたフロイトと別の道を進むことになり、自分なりの心理学を完成させようと、あれこれ模索していたらしく、

そんな中で、「実際に自分で試したことじゃなければ患者を治療できない」という理由もあり、夢を記録したり、空想を書き留めることで、自分の無意識を本格的に分析し始めたようです。

 

その頃の夢の例を挙げるとすると、「旅行中に恐ろしい洪水に襲われる」とか、「真夏の最中にとてつもない寒波が押し寄せて街や運河が凍結する」とか、かなりインパクトの強い夢を繰り返し見ていたようです。

自分の夢を記録することは、多分それ以前にもやっていたんじゃないかと思うのですが、この頃になってユングは強烈な夢に何度も襲われ、すっかり精神的な不調に陥ってしまいました。

その不調は、大学の講師であるにも関わらず、科学的な本がさっぱり読めなくなってしまうほどのものだったそうです。

で、そういったこともあり、彼は大学教授としての道を諦め、個人で無意識の研究をし、患者と向き合っていくという決心をします。

ユングは優秀で、いわば「出世の道を約束されていた」というくらいの立場の人間だったそうなので、それを投げ捨てるというのは、相当な覚悟が伺えますね。

 

で、そういったユングの内面体験の中でも、特に面白いのが、老賢者フィレモンの話です。

彼はあるとき夢の中で、頭に角をもち、背中に翼をはやした老人と出会ったそうで、その姿が印象的だったこともあり、ユングはその老人の姿の絵を書き、その老人に「フィレモン」と名前をつけました。

そして、それ以降、その老賢者フィレモンとユングは何度も対話し、多くの知恵を授かったといいます。

ちなみに、その対話というのは、決して夢の中だけで行われたのではなく、起きている際の空想によっても行われたそうで、そうやって聞くと、少し常人には理解し難い印象を受けますね^^;

 

夢の記録について

 

さて、ユングの話に偏ってしまったので、夢の記録に話を戻すのですが、

こうやって彼の話を見る限り、夢を記録するに際してよく言われる「夢と現実の区別がつかなくなる」とか「精神的な不調に陥る」というのは、あながち間違っていないのかもしれません。

事実、老賢者フィレモンと対話する様なんてのは、他人から見れば、精神病患者と変わらないように見えますし。。

 

ちなみに少し話がそれますが、夢を記録するメリットとして、「明晰夢が見られる」とか「夢の内容をコントロールできる」とか、そういったものが挙がっていますけど、僕の場合はそこに興味はありません。

自分の無意識について知りたいから、わざわざ記録しているのに、それを意識の側で捻じ曲げるというのは、本末転倒というか、ふつうにもったいないですし。

 

あと、「自分は夢を見ないので記録できない」という人もいて、僕もそっちの側の人間だったのですが、人間は平均して4~5つほどの夢を見ているそうです。

だから、正確には「夢を見ない」のではなくて、「見た夢を忘れてしまっている」ということだそうですね。

で、その「夢を忘れてしまう」ということについては、起きてすぐに記録することを徹底すれば、意外と覚えていたりするもので、少なくとも僕はそれで記録できています。

最近はどういうわけか小・中学時代の友人がよく夢の中に出てきて、なぜ高校・大学でもなく、なぜそのときの友人なのかはわからないのですが、それは何かしら僕に関係があることなんでしょうね。。

 

…と、まあ、そんなわけで夢の記録については1ヶ月ほどやってみて、調子が悪くなるとか何かしら問題が起きたら止める…くらいのかんじでやってみようかと思います。

あと、そうならないためにイチバン大事なのは、「日常の生活習慣をキッチリ守る」ということなのかもしれません。

ユング自身、「日常における仕事や家族との生活があったから、自分は空想についての仕事をしながらも、こちらの世界に帰ってくることができた」といったことを話していますからね。

そういった点に注意しながら、無理のない程度に試してみます。

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