今月、この11月をもって僕はちょうど30歳を迎えることになりました。この前、健康診断でもバリウムを初めて飲んだのですが、「僕も、もうおじさんになってしまったんだな」と、前からそんなことはわかっていたはずなんですが、そんなことをふと改めて気付かされて、なんとも言えない気持ちになりました。
正直いうと、感覚的な部分では大人になったという自覚はありません。内面的な、気持ちの部分では子供の頃から何も変わっていないのに、自分を取り巻く周りの環境というか肩書みたいなものが、30歳であること・大人として振る舞うことを求めてくるような、そんなちょっとした違和感みたいなものがああります。「竜宮城から帰ってきた浦島太郎」というと、いささか表現が大げさすぎますが、でも方向性としてはそんなかんじ。自分は変わらず若いままなんだけれど、周りの環境がすっかり変化してしまって、元には戻れない寂しさを少し感じるのです。
ちなみに、10歳になったときのことはなんとなく覚えていて…、その日はたしか平日で、小学五年生の僕は放課後に学校から帰ってきてから、母から「10年生きた感想はどうですか?」みたいなことを聞かれた記憶があります。母としても我が子を10年間育てたということになにか感慨深いものがあったのかもしれません。いずれにせよ当時の僕としての感想は「10年間って長いようで意外とあっという間で、こうやって時間は過ぎていくんだな…」くらいのものでした(…と、これを書きながら気になって昔のカレンダーを検索したのですが、平日じゃなくて日曜日でした。。。全くの記憶違いだったわけですが、それでも僕が当時感じたことは、ここに書いてあるとおりのことだったはずです^^;)。
それよりも家族や友人・学校で出会うたくさんの人たちが、自分が10年間という時間を経験してきたのと同様に10年間という時間を経験し、それぞれの人生や思い出が積み上がっていくことのほうが、僕にはとても興味深く感じられたように思います。世界には何十億人という人がいることを考えると、僕が経験することはこの世界のほんの一部でしかなく、残りの大部分については知り得ることなく僕は死んでいくわけで、それはすごく残念だともいえるし、それだけ世界は広く大きいのだから仕方ないんだというなんとも言えない気持ちを感じた記憶があります。
で、それじゃあ20歳になったときはどうだったか?というと、これがあまり覚えていないんですよね。。。成人式に行ったときの記憶はあるんですが、なにか心に感じたもの・印象に残ることがあったかというと、正直微妙なところです。でも、きっと「20歳になるまであっという間だったなあ」という、さっきと同じような感想を抱いてたんじゃないかと思います。
当時の僕はそれなりに勉強もできて彼女もいて充実しているようですが、その一方でこれといって特にやりたいこともない、ごく一般的な大学生だったと思います。「なんとなく上手くいっているけど、自分の人生これでいいのかなあ」って感覚ですね。まあ、それについては今も同じかもしれませんが。。。
ただあの頃の自分は、自分が生きる理由・人生の目的みたいなものがあって、それがあれば、このモヤモヤとした感覚が晴れる、逆に言えば、いまの人生が楽しくないのは、それが見当たらないからだと考えていたんですよね。
でも、そんなものってありません^^; まあ、決してなくはないのでしょうが、「生きる意味」なんてものは、自ら積極的に行動していった結果「ああ、これが自分の生きる意味だったんだな」と実感するものであって、先天的かつ分析的に頭で考えて導き出すようなものではなく、後天的かつ総合的に認識する類のものだと思っています。そういった部分を当時の僕は大きく勘違いしていたんですね。
さて、そんな10歳・20歳の頃を踏まえて、もうすぐ30歳を迎えるわけですが、時間の過ぎ去るのは早いというか、本当に恐ろしいものがありますね。何があろうと時間は過ぎていきますし、いいことも悪いことも何もかも押し流していくような、そんな圧倒的なものを感じます。
最近になって嫌なことがあっても「まあなんとかなるか」とか「時間が解決してくれるか」みたいなふうに考えられるようになってきて、いわゆる「日にち薬」という言葉の意味が理解できるようになったわけですが、でも、これが逆になんとかなりすぎてしまうのも困りものだと思うんですよね。例えば、「自分にはやりたいことがあったけど、気づけば時間が過ぎて挑戦する機会を失ってしまった…」みたいな。そんな悲しみも時間が経てば薄れていくのかもしれませんが、それは「まあいいか」で済ませちゃダメだと思うんです。
いまの僕には特に、これといったやりたいことがあるわけではありませんが、でも、だからといって、何も行動しないままだと、間違いなく「なにもない10年間だったな」となってしまうわけで…。なので、面倒くさいなりにも目の前にあることをコツコツと、辛抱強く積み重ねていくしかないのかな、というのがいまの僕が思うところです。果たして、40歳になった10年後の自分が、いまの自分をどのように振り返るのか…。