移民の受け入れと人種差別問題について

警察官による黒人殺害をきっかけとして、黒人差別撤廃の抗議デモが起きていますね。

どうやらアメリカ以外の国でも抗議運動が広がっているようで、キング牧師のとき以来の最大のデモ活動じゃないかという話もあって、なんか世の中すごいことになっているなあと思います。

 

アメリカは歴史上、移民を受け入れつつ常に経済成長を続けてきた国ですから、僕の中では、こういう問題って遠い昔の話という勝手なイメージがありました。

例えば、ドラッカーの「ネクスト・ソサエティ」という本で、アメリカの移民の受け入れについて書かれた部分を引用すると、こんなことが書かれています。

アメリカが優位にあるのは、若年人口の数だけではない。移民に対する文化的な馴れがある。社会的、経済的に同化させる方法を身に着けている。しかも最近では、ラテン系、アジア系ともにアメリカ社会に同化するスピードが速くなっている。ラテン系移民の三分の一は、ラテン系でも移民でもないアメリカ人と結婚している。最近の移民にとって、問題は公立学校のレベルの低さぐらいのものである。

先進国の中では、アメリカ並みの経験をもつ国はオーストラリアとカナダだけである。日本は1920年代と30年代に挑戦から受け入れた以外は移民を受け入れていない。彼らに対する差別意識は今日でも問題にされている。

ネクスト・ソサエティ」p.13より引用

 

まあ、これは2000年頃に書かれた本であり、トランプ大統領が当選する前の話ですから、いまも全く同じというわけではないかもしれません。

ただ、アメリカというのは、いろんな人種の人間が一緒に暮らすことで成り立ってきた国なわけです。

だから、そういう意味では、人種差別問題を解決することについて、世界でイチバン優れている国だと言えそうですよね。

でも、それにも関わらず、例の白人警官が黒人の首の上に膝をついて乗っているショッキングな画像を見たりすると、これがいかに根深く解決の難しい問題なのか考えさせられますね。。

 

ちなみに、日本では少子化問題が叫ばれて久しいですが、これって本当は、移民さえ受けいれることができれば、簡単に解決できる問題のはずです。

ですが、そういう議論は全く俎上にのらないわけで、こういったことを考えても、人種問題の難しさが何となく分かる気がします。

 

海外からの留学生と話した限りの経験では、そんな感情なんて湧いてくるはずもなく、「やっぱり同じ人間なんだなあ」としか思いませんでしたが、同じ国民として一緒に生活するとなると話は違ってくるのかもしれませんね。うーむ。。。

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