人間は自分のためだけには生きられるほど強くない

どういう背景のもとに作られた映像なのかはわからないのですが、三島由紀夫のインタビュー動画がYoutubeに上がっていて、そこで話されている言葉が非常に面白いので、ここでも共有したいと思います。

個人的に印象に残ったところを挙げるとすれば、「人間というのは自分のためだけに生きて、自分のためだけに死んでいけるほど強くない」という言葉ですね。

 

人間というのは進化の過程で理性を獲得した反面、そのために自分自身がいかに孤独な存在であるかを自覚せずにはいられなくなりました。

そして、そのために僕らというのは、自分の人生を方向づけてくれるような意味や目的のようなものを求めてしまうわけです。

 

それは具体的に説明すると、戦争の時代なら「国のために」という国家主義になるのだろうし、葉隠の時代でいえば「殿様のために」という武士道的なものになるのでしょう。

それに比べて、動画内でも触れられている通り、現代というのは、自分の人生に対して意味を与えてもらえるような何かは存在しないわけです。

動画内で「戦時中、自分が死ぬことを覚悟していた頃は、とても幸福だった」ということが話されていますが、

戦争もないし、自由は保証されているし、食べるものも着るものも満ち溢れているはずの現代人が、当時の人に比べて、なぜか幸せだと感じられないのは、そういうところに原因があるのでしょう。

 

とはいえ、神も国家も武士道も、人間が作った想像上の産物に過ぎませんから、どれだけ価値があるものに見えたとしても、いつかそのメッキが剥がれて幻滅してしまうことは避けられません。

幻滅するたびに、新しい幻想を追い求めるというのも、幸せな人生だとは思えません。

だから結局、真の幸福を得ようと思ったら、自分自身のために生きられる強さを身に着けなくてはいけないのでしょうね。

その強さをどうやって身につけていけばいいのか、具体的にはまだわかりませんが、せめて、そういった自分以外のなにかに気を取られることはないように心がけたいと思います。

sponsored link